川 上 加 奈 彫刻展
『冒険記』



平成17年2月14日〜3月6日
川 上 加 奈(かわかみ かな)

江別市在住
全道展会友

主な略歴・展示
2001  北海道浅井学園大学短期大学部工芸美術学科彫刻コース卒業

2000  全道展 (札幌市民ギャラリー 札幌) 以後毎年
2003  国画会展 (東京都美術館 東京) 
      全道展受賞者展 (大同ギャラリー 札幌)
2004  国画会展 (東京都美術館 東京)
      札幌の美術2004 −20人の試み展− (札幌市民ギャラリー 札幌)
      風の中の展覧会 (小川原脩記念美術館 倶知安)
      しかおいウィンドーアート展 (鹿追町アートロード 鹿追)
      北の彫刻展2004 −新しい具象− (札幌彫刻美術館 札幌)
2005  New Point Vol.2 (大同ギャラリー 札幌)

「脱活乾漆(だっかつかんしつ)」という技法による彫刻、乾漆彫刻。
この技法は、大陸から日本に渡り奈良時代から平安初期まで行われた技法で、奈良の唐招提寺の監真和上像など優れた仏像が多く残されている。しかし、奈良時代に頂点を極めたこの技法も平安時代に入って次第に廃れ、専ら木像となっていったという。
それが、第2次大戦後、山本豊一氏によって永い眠りから復活した。
川上加奈等、若手の活躍で古来の技法に新しい技術を加え我々の身近なものになったことは喜ばしい。
彫刻には、木や石を削りながら作家がイメージする作品に仕上げる手法のほかに、粘土や石膏の塊を削ったり貼り合わせたりして仕上げる方法、さらにそれを原版(塑像)に石膏で型をつくり溶融した金属を流し込んで作るブロンズ像のような作品もある。
脱活乾漆の技法は、塑像から石膏の型作りまではブロンズによる彫刻と同じだが、ここからの作業が違う。
出来た石膏の型の内側に漆と砥の粉を混ぜたものを接着剤として麻布を何層にも貼り固めた後、石膏を剥がし、顔料や金箔、拭き漆で仕上げる。
漆の独特の光沢が美しく、初めて観る者には、大きな硬い木の塊から彫り上げたもののように見え、その質感に圧倒される。
実力には定評のある川上加奈だが、彼女にとって今回が初めての個展。
エントランスホールを踏み台に、さらに大きく羽ばたいてと願う。

作品の紹介

作品名「思いがけないところで見つけた」
大きな像と、奥の壁に貼り付けた3枚の作品の総称である。(個展のための新作)
今回のテーマは、「冒険記」。この像の人物(あるいは神か?)が、何か思いがけないものを見つけたのか?それが壁の3枚に描かれたものなのか?あるいは来場された方が思いがけないものを見ることになるのか。作者の意図を聞き忘れた。

脱活乾漆の技法による滑るような質感。
たぶん、時間の経過とともに漆の色が微妙に変化し、顔の表情と相まってはますます神秘的な美しさを増すのだろう。
右の写真は像の全身。露出が違うため白っぽく見えるが、実際の色合いは、上の写真に近い。
下の3枚の写真は、壁に貼られた作品。
実際は、もっと濃い褐色。模様は、金箔。



作品名「星を食べた人」
(個展のための新作)
制作前のデッサンを見ると、女性のお腹の周りが光り輝いていて、それを戸惑った目つきで見ている。


お腹に入った星の光が身体を透って外に光り輝いているのか?

そして歩く女性の後には、星の光が尾を引いている。流れ星のように。
女性の表情を見ると、星を食べてしまったことを悔いているように見えるのですが、皆さんはいかがですか。是非見てください。

作品名「しかくい月の話」
(個展のための新作)
黒い壁の右上に貼ってあるのが「しかくい月」
ひざ掛けで暖を取り名月を楽しむ高貴な女性?

髪の毛のボリューム感、風合い。
天平時代の作品とは、復活した技法は似ていても、当時と全く違う現代の「脱活乾漆」作品ではないだろうか。
右の写真は「しかくい月」。金箔を漆地の板に貼っている。黒い下の部分は漆黒の顔料に拭き漆仕上をした宇宙の果ての世界か。




作品名「休符1」(左)「休符2」(右)
左の写真は、エレベーターホールとエントランスホールの間に設けられたコーナーに展示された様子。ここにはトップライトと正面上からのスポットライトが2個ずつあって、このような作品の展示のためにあったようなコーナーだ。





「休符2」
平安時代の高貴な婦人が優雅な着物を纏って安らいでいるように見える。

作品名「花T〜V」

作品名「気ままに天使」
この作品は、漆ではなくポリエステル樹脂を使用している。
技法は乾漆彫刻と同じだ。

「気ままに天使」のうちの1点。
天使の優しくあどけない表情が心を和ませてくれる。

作品名「トランプ」
この作品だけは、木を芯にして紙粘土で形を整えている。
型どりをしない「木芯乾漆」と呼ばれる技法によって制作されている。

展示作業風景



エントランスアート
トップへ