STV北2条ビル
エントランスアート
2012年カレンダー
2012年カレンダー表紙


北の美術家たちに伴走して半世紀

美術評論家・STV北2条ビルエントランスアート企画委員長
吉田豪介

 2004年まで札幌芸術の森美術館長を務め、その後STV興発が運営する「北2条ビルエントランスアート」の企画委員長に就いていた笹野尚明さんが、昨年2月に亡くなった。笹野さんは、このカレンダーにも毎年エッセーを書いてきたが、特にエントランスホール建築の採光の素晴らしさと道内美術家による個展との調和を、高く評価していた。
 さて私は昨年夏からこの企画会議に参画している。この欄のエッセーにも引き継いだが、新たに「北の美術家たちに伴走して半世紀」というコンセプトを設営してみた。
 私は子供の頃から絵が好きで、学生時代も黒百合会で絵を描き展覧会に出品した。社会へ出てテレビディレクターになり、企画を提案して道展や全道展の中継放送を実施したりもした。それらが縁で1961年から新聞に展覧会評を書き始め、もう50年になる。
 1950年代に入って「もはや戦後ではない」が合言葉になったが、美術界では「公募展無用論」が叫ばれ、「アンフォルメル旋風」が吹き荒れた。道内の公募展にも非形象系作品が数多く持ち込まれたが、それ以上に関心を呼んだのは道展と全道展の確執であった。
 戦後直ぐに北海道新聞社が道展の再構築を目指して動き出したのだが、結局、2公募展が並立して競い合う構図になったからだ。全道展は道新紙上で毎年合評会をするのを慣例としたが、出席者の一部に全道展を応援するため道展を低く見る傾向があると囁かれた。道展には今「自分の利益のために道展を利用する者はいないが、『俺は専門家だ。お前達は素人だ』などと口幅ったい言い方をして、却って物笑いになる様な愚かしい専門家もいないようだ」と、直ぐに会報で反論した厳しい人もいた。しかし会内の空気はいつも穏やかだった。展評を書くようになって懇親会の2次会など薄野のどこかのラウンジに伺うと、「いいところに来た」といわれて直ぐに奥のテーブルに案内され、今田敬一、繁野三郎、高木黄史3先輩の拝聴役をさせられた。繁野さんは、師範学校時代に誘われて北大の黒百合会展に出品した思い出を、嬉しそうに語っていたし、高木オバさんは「道展は家族主義だ」と外部の絵描きに批判されて、「家族的に励まし合ってどこが悪いの!」と抗議したなどと息巻いていた。今田先生は何時ものように、ただ静かに頷くだけであった。
 全道展では、本田明二、栃内忠男両氏に「いつでもおいで!」といわれて、道新で開催されている作品審査会に何度か出かけた。本田さん栃内さんが司会進行していたが、二人とも声が大きかった。また委員長席には橋本三郎さんが座ることが多く、頻繁にカン高い函館弁が響いて面白かった。審査では、よく国松登さんと小川原脩さんが意見を闘わせていた。お二人には後々も大変お世話になった。国松さんは喫茶店でよく手品を見せてくれたが、それよりも私自身が企画の中軸を担った「12稜空間展」(1973)に道芸術新賞を贈るよう諮って、12人の若手美術家を大喜びさせてくださった事は忘れられない。また小川原さんに誘われて任についた「有島武郎青少年絵画展」の審査は、いまだに続いている。




発  行: STV興発株式会社  制  作:
有限会社 オフィス並木
写  真: 並木博夫
デザイン: 堀 浩輝(LEEG inc.) 印  刷:
株式会社 DNP北海道


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〒060−0001 札幌市中央区北1条西8丁目1 STV ANNEX 4F
  STV興発梶@ カレンダー係宛

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